入居者紹介「Gorai’インタビュー」vol.58
一般社団法人地域QOL研究所 代表理事
田村 眞悠さん
【地域QOLに係る調査、研究開発、ネットワークづくり支援、人材育成・普及・キャリア支援ほか】
地域の誰もが、前向きに暮らしていけるように。
QOLとは「Quality of Life」の略。日本語に訳すと「生活の質」もともとは、医療や介護の現場で使われるようになったが、昨今は、誰もが前向きな気持ちで日々を暮らしていけるよう、生活の質を高めることを指す言葉としても使われる。
田村さんは、電力会社を定年退職後、2005年~財団法人ちゅうごく産業創造センターに勤務。2010年~広島大学若手研究人材養成センターに勤務し、2016年~地域活動に着手。2016年12月~えんがわ創作プロジェクト(地域団体)代表として安芸高田市を拠点に活動し、2018年11月に一般社団法人地域QOL研究所を設立。代表理事に就任し、現在に至る。
地域QOLに係る調査・研究開発・資材の販売や、地域QOLに係る産学連携、創業支援、人材派遣による地域共生ネットワークづくり支援、また、地域QOLに係る人材育成・普及・キャリア支援のためのまちづくりの推進を図る活動、環境の保全を図る活動、国際協力の活動、経済活動の活性化を図る活動、職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動および各団体の連携など、地域QOLに係る事業を幅広く担っている。
「みんないい!」のもと「えんがわ」で里山を活性化。
「えんがわ創作プロジェクト」は、里山(安芸高田市)を拠点に、「みんないい!」という考えのもと、「えんがわで創作しよう!」を合言葉に発足。自分たちがやりたいことを持ち寄り「えんがわ」をイメージしたワークショップを実施して、まず一歩を踏み出すプロジェクトだ。
「世界に一つしかない指輪をつくってみよう」「羊毛とフェルトの飾りづくり」などの創作アートや、「葛ソムリエから学ぶ葛料理」「マクロビオティック料理に挑戦しよう」などの健康創作料理、
また、地域の未利用資源に注目したワークショップ「竹チップを作ってみよう」「藍を植えよう」など、地域の人と共にさまざまな活動をしてきた。丁度、里山未来博と重なったこともあり、活動は加速し、たくさんの人の繋がりの連鎖が生まれた。
そもそもは、友人が向原の古民家にカフェギャラリーを開いたというので、
「じゃ、人を集めよう!」
となったのがきっかけ。東広島市在住の藍染の先生の教えを受けたことから、防府在住の大師匠や、藍で有名な徳島の藍生産者と繋がり、藍の種をもらって育て方まで教わった。更には島根県安来市の広瀬絣の機織りに関わる人たちと繋がったり、甲冑づくりをしている群馬の方方も知り、人が人を繋いでくれて、他にも様々なワークショップを開催してきた。
「人を知ると、人に繋がる」
これらの活動は、里山未来博が終わった今も続けている。
2番目より、今はトップが心地いい。
出身は、山口県。工業高校に進み、大学に行くつもりはなかったという田村さん。オールラウンドで何でも出来たが、”唯一”電気の成績だけが悪かった。
「田村、どうしたん?」
と言われ、また、周囲からは社会で活躍するには大学に行った方がいいとも言われ・・・
「それなら、苦手な電気にチャレンジしよう!」
と大学進学を決め、電気専攻を選択したのだという。
敢えて“苦手”を選ぶとは、変わってる(失礼!)
そこに、人とは違う、発想力が感じられる。
学級委員長などにも選ばれることは多かったが、
「2番目の位置で、リーダーを支えるのが真骨頂だった」
という田村さん。
しかし、様々な経験を積んで基礎固めができた今は、
「代表、社長、トップになろう」
と思える。責任を負って自分の思うとおりに事を進めること、また、アイデアを出してイノベーションを産む今のかたちが、
「居心地がいい」
と、現状を満喫している。
もともとはシンクタンクに勤務していた時、世界を股にかける企業の経営者から、
「何やっても儲からんね」
という言葉を聴き、
「事業を持続させるには何をするのがいいのか?!」
と、考えさせられたことから始まった。
また、地域の調査事業からは、地域の様々なニーズや課題を知ることになり、感性工学にも着目。
広島大学の若手研究人材養成センター勤務の中では、
「物を見るのか、人を見るのか」
それはもちろん「人」であるが、そんな物の見方が大事であり、人財育成が重要であることを実感した。
これまでのすべての経験が、今に繋がっている。
みんなが夢を持ち、心豊かに生活していくために、人材育成をしながら”健全な100歳社会のモデルづくり”をする。
「QOLを高めた人生を、自分たちで作り上げていきたい」
と、田村さん。
共に活動するメンバーにも恵まれた。
そこに新たにSDGsビジネスや、SDGsをテーマにしたまちづくりを繋げ、まずは中山間地である安芸高田市で地域QOLの代表事例をつくる。そして次は島しょ部に展開、その次は人口の多いまちへ・・・と、未来は広がる。
SO@Rビジネスポートへ入居してからは、5年。
「交流が魅力。いろいろなベクトルを持った人のところに飛び込むのは、刺激」
と田村さん。仕事を持つことは健康維持になると、科学的にも証明されているそうだ。また、自宅ではなく、
「ちゃんと仕事場を持つことは、自分の生活のリズムを作ることになる」
そう前向きに語る田村さんの、楽しそうな表情から、
”健全な100歳社会のモデルづくり”は、遠くないと感じる。
インタビュアー : (株)ソアラサービス 代表取締役社長 牛来 千鶴
掲載日:2021年7月2日
~ 田村さんへの取材後インタビュー ~
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